Sebum Journal 01
Dry Skin
and Sebum.
乾燥すると
皮脂が増える?
皮脂の仕組みと、本当にそう言えるのか?
肌はカサカサしているのに、おでこや鼻だけテカる。そんな経験から「乾燥すると皮脂が増える」と思っている方も多いかもしれません。しかし、この考え方には少し誤解があります。
News Topics
この記事で分かること
皮脂とは何か、皮脂腺や脂腺細胞でどのように作られるのか、乾燥すると本当に皮脂が増えるのか、そして皮脂を正しく理解するための基本を解説します。
Is It
Really True?
乾燥したことだけをきっかけに、皮脂が急激に増える仕組みは明確には確認されていません。
「乾燥すると、肌がうるおいを守ろうとして皮脂をたくさん出す。」このような話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
実際に、肌はカサカサしているのに、おでこや鼻だけテカる、乾燥肌なのに皮脂が気になるという経験をすると、この説明に納得してしまいます。
しかし、現在の研究では、乾燥したことだけをきっかけに皮脂が急激に増える仕組みは明確には確認されていません。
なぜ乾燥しているのに皮脂が多く感じるのか。その理由を知るために、まずは皮脂がどのようなものなのかを見ていきましょう。
Article
Contents.
目次
01
What Is Sebum?
Natural
Protection.
皮脂とは?
皮脂とは、皮脂腺という器官で作られる油分のことです。
皮脂腺とは、毛穴の横にある小さな組織で、皮脂を作る工場のような役割をしています。
皮脂と聞くと、ベタベタする、毛穴が詰まる、ニキビの原因になるというイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、本来の皮脂は肌にとって欠かせない存在です。
皮脂は汗と混ざり合い、皮脂膜という薄い膜を作ります。
皮脂膜とは、肌の表面を覆う天然の保護膜のことです。
肌の水分が蒸発するのを防ぎ、外部からの刺激を受けにくくし、肌をなめらかな状態に保つ働きがあります。
- 肌の水分が蒸発するのを防ぐ
- 外部からの刺激を受けにくくする
- 肌をなめらかな状態に保つ
トリグリセリド
皮脂で最も多くを占める成分です。皮膚常在菌によって分解され、その過程でグリセリンになります。
ワックスエステル
油ではなく、脂肪酸をもとに作られた蝋です。酸化しにくく、ホホバオイルにも含まれている成分です。
脂肪酸
弱酸性の性質を持ち、悪玉菌である黄色ブドウ球菌が増えにくい肌環境を保つことに関わります。
スクワレン
酸化しやすい一方で、皮膚の柔軟性を保つ重要な成分です。スクワレンに水素を添加したものが、スクワランとして販売されています。
皮脂は悪者ではなく、肌を守るために必要な存在です。
02
How Is Sebum Made?
Inside the
Sebaceous Gland.
皮脂はどのように作られる?
皮脂は、皮脂腺の中にある脂腺細胞という細胞によって作られます。
この細胞には、少し珍しい特徴があります。
新しく生まれた細胞は、成長しながら細胞の中に少しずつ脂質をため込んでいきます。
そして、十分に脂質をため込むと役目を終え、自ら壊れます。
細胞の中に蓄えられていた脂質と、壊れた細胞の成分が混ざり合い、皮脂となって毛穴から皮膚の表面へ排出されます。
このように、細胞そのものが崩壊して分泌される仕組みを全分泌といいます。
汗は水分だけが分泌されますが、皮脂は細胞ごと皮脂になるという、少し変わった仕組みです。
皮膚の表面へ出た皮脂は、リパーゼという酵素の働きを受けて少しずつ成分が変化し、肌を守る皮脂膜として機能します。
酵素とは、体内で化学反応を助けるたんぱく質のことです。
01
基底細胞が増える
皮脂腺の中で新しい細胞が生まれます。
02
脂質をため込む
成長しながら細胞内に油分を蓄えます。
03
細胞が成熟する
脂質を十分に蓄えた状態になります。
04
細胞が崩壊する
全分泌によって細胞そのものが壊れます。
05
皮脂になる
脂質と細胞成分が混ざります。
06
毛穴から分泌
皮膚表面へ排出されます。
07
皮脂膜を形成
汗と混ざり、肌を守ります。
Does Dry Skin Increase Sebum?
Water and
Oil Balance.
乾燥すると皮脂は増えるの?
ここで、最初の疑問に戻りましょう。
「乾燥すると肌を守るために皮脂が増える」という話を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、皮脂は脂腺細胞が一定のサイクルで作り続けており、乾燥したことだけをきっかけに皮脂の産生が増える仕組みは、現在のところ明確には確認されていません。
では、なぜ乾燥しているのに皮脂が多く感じるのでしょうか。
その理由の一つとして考えられるのが、肌の水分量と皮脂量のバランスです。
乾燥によって肌の水分量が減ると、皮脂の量が大きく変わらなくても、水分とのバランスが崩れることで皮脂が目立ちやすくなります。
その結果、「皮脂が増えた」と感じることがあります。
皮脂は脂腺細胞が脂質を抱えて発達し、自ら壊れることで作られます。そのため、分泌できる皮脂の量は脂腺の大きさによって決まります。
そのため、脂腺の数や発達具合には個人差・部位差があるため、皮脂が多い方、少ない方がいます。また、同じ人でもTゾーンは皮脂が多く、頬は少ないなど、部位によって皮脂量の違いが生まれます。
「乾燥すると皮脂が増える」というよりも、「乾燥によって皮脂が目立ちやすくなることがある」と考える方が、現在の研究結果に近いといえるでしょう。
よくあるイメージ
乾燥したため、肌がうるおいを守ろうとして皮脂を急に増やした。
現在の知見に近い考え方
肌の水分量が減り、水分と皮脂のバランスが変化したことで、皮脂が目立ちやすくなった。
Understanding Sebum
Not an
Enemy.
「皮脂=悪者」と考えないことが大切
皮脂は、ベタつきや毛穴詰まりの原因として悪いイメージを持たれることが少なくありません。
しかし、本来の皮脂は、肌を乾燥や外部刺激から守るために欠かせない存在です。
また、「乾燥すると皮脂が増える」と思われがちですが、実際には皮脂が作られる仕組みはもっと複雑で、乾燥だけで説明できるものではありません。
だからこそ、「皮脂をなくす」ことを目指すのではなく、まずは皮脂の役割を正しく理解することが、自分の肌に合ったスキンケアを選ぶ第一歩になります。
05
Summary
Know Your
Sebum.
皮脂の役割を正しく理解することが、健やかな肌づくりへの第一歩です。
皮脂は、皮脂腺で作られ、肌の表面で皮脂膜を形成することで、水分の蒸発を防ぎ、外部刺激から肌を守る重要な役割を担っています。
また、「乾燥すると皮脂が増える」とよく言われますが、現在の知見では、乾燥そのものが皮脂の産生を直接増やす仕組みは明確には確認されていません。
乾燥によって肌の水分量が減ることで、水分と皮脂のバランスが崩れ、皮脂が目立ちやすくなることが、「皮脂が増えた」と感じる一因と考えられています。
皮脂は悪者ではなく、肌を守るために欠かせない存在です。まずはその役割を正しく理解することが、健やかな肌づくりへの第一歩となります。