Cellular Aging Journal 03
Why Cells
Accumulate.
老化細胞はなぜ増える?
肌に留まる4つのメカニズム
老化細胞が増える理由は、年齢だけではありません。除去・入れ替え・細胞競合・酸化ストレスという複数の仕組みが関わっています。

News Topics
この記事で分かること
マクロファージの機能低下、JAG1とターンオーバー、17型コラーゲン(COL17A1)と細胞競合、活性酸素の増加という4つの視点から、老化細胞が蓄積する仕組みを解説します。
Four Changes,
One Result.
老化細胞は、複数の仕組みが同時に変化することで増えていきます。
前章では、老化細胞がSASPによる慢性炎症、結合型セラミドの減少、ミトコンドリア機能低下、活性酸素の増加などを通じて肌老化へ関わることを解説しました。
では、その老化細胞はなぜ年齢とともに増えるのでしょうか。背景には、不要な細胞を取り除く力、古い細胞を入れ替える力、傷ついた細胞を排除する力、細胞を傷つける酸化ストレスの変化があります。
「掃除できない」「入れ替わらない」「競合で排除されない」「新たに傷つく」という4つの変化が重なることで、老化細胞は蓄積しやすくなります。
Four
Mechanisms.
老化細胞が増える4つの仕組み
Macrophage Decline
マクロファージの働きが低下し、老化細胞を掃除できなくなる。

マクロファージは、不要になった細胞や異物を見つけ、取り込んで分解する「体内の掃除屋さん」です。
この取り込んで消化する働きを、貪食(どんしょく)と呼びます。マクロファージの機能は、加齢や、老化細胞から放出される老化促進物質(SASP)によっても低下してしまいます。
その結果、本来なら除去されるはずの老化細胞が少しずつ体内へ残るようになります。
ANALOGY
毎日きれいに掃除していた人が、年齢とともに掃除の回数や効率を落としてしまうような状態です。
- 01マクロファージの機能が低下する
- 02老化細胞が除去されにくくなる
- 03老化細胞が蓄積する
- 04SASPが増える
- 05マクロファージの働きがさらに低下する
- 06老化細胞がさらに蓄積する
JAG1 and Turnover
交代の合図が弱くなり、古い細胞が排出されにくくなる。

肌は約4〜6週間かけて新しい細胞へ入れ替わります。この仕組みがターンオーバーです。
ターンオーバーによって古い角質細胞は垢となって自然に剥がれ落ち、新しい細胞へ置き換わります。
この入れ替えへ深く関わるタンパク質の一つが、JAG1(ジャグワン)です。
JAG1 AS A SIGNAL
JAG1は、駅のホームで「次の電車が来るので降りてください」と伝えるアナウンスのように、古い細胞へ交代のタイミングを知らせる合図として説明できます。
老化した角化細胞ではJAG1の発現が低下することが報告されています。交代の合図が弱くなることで、ターンオーバーが遅れ、古い細胞が残りやすくなります。
HEALTHY SKIN
正常な肌
JAG1の合図によってターンオーバーが進み、古い細胞が排出され、新しい細胞へ入れ替わります。
AGING SKIN
老化した肌
JAG1が低下するとターンオーバーが遅れ、古い細胞や機能が低下した細胞が残りやすくなります。
COL17A1 and Cell Competition
17型コラーゲンが減ると、傷ついた細胞を排除する競合が働きにくくなる。
17型コラーゲン(COL17A1)は、表皮幹細胞と基底膜をつなぐ接着タンパク質です。
真皮のハリや弾力に関わる一般的なコラーゲンとは異なり、健康な表皮を維持するための接着と細胞の選別に関わります。
この17型コラーゲンは、細胞競合(Cell Competition)という現象にも深く関わっています。
CELL COMPETITION
スポーツチームのレギュラー争いのように、状態のよい細胞が残り、傷ついた細胞や機能が低下した細胞が自然に排除される仕組みです。
紫外線や加齢によって17型コラーゲンの発現が低下すると、細胞競合が十分に働きにくくなり、本来排除される細胞も組織へ残りやすくなると考えられています。

HEALTHY EPIDERMIS
17型コラーゲンが保たれている
細胞競合によって傷ついた細胞が排除され、より健康な細胞が表皮を維持します。
DECLINING COL17A1
17型コラーゲンが低下する
細胞競合が働きにくくなり、機能が低下した細胞や老化細胞が残りやすくなります。
Oxidative Stress
活性酸素が増えすぎると、新たな老化細胞が生まれやすくなる。

活性酸素は、細菌やウイルスへの防御、免疫細胞の働き、細胞間の情報伝達など、体に必要な役割も担っています。
問題となるのは、紫外線、ストレス、睡眠不足、喫煙などによって必要以上に増えることです。
過剰な活性酸素は、DNA、タンパク質、細胞膜などへダメージを与えます。この状態を酸化ストレスと呼びます。
OXIDATIVE STRESS
金属が空気に触れてサビるように、細胞も活性酸素によって少しずつ傷つくことから、「体のサビ」と表現されることがあります。
酸化ストレスが続くと、細胞はダメージを広げないために分裂を停止し、老化細胞へ移行しやすくなると考えられています。
- 01紫外線・ストレス・睡眠不足・喫煙など
- 02活性酸素が増加する
- 03酸化ストレスが生じる
- 04DNA・ミトコンドリアが損傷する
- 05老化細胞が増える
- 06SASPとミトコンドリア機能低下によって、さらに活性酸素が増える
Not Just
Getting Older.
老化細胞は、単に年齢を重ねたから増えるわけではありません。
老化細胞の蓄積には、除去機能の低下、ターンオーバーの遅延、細胞競合の低下、酸化ストレスの増加が関わります。
さらに、蓄積した老化細胞はSASPを放出して慢性炎症を引き起こし、周囲の細胞やマクロファージへ影響しながら、さらに老化細胞が増えやすい環境を作ります。
- 01マクロファージが老化細胞を除去しにくくなる
- 02JAG1低下によって古い細胞が排出されにくくなる
- 0317型コラーゲン低下によって細胞競合が働きにくくなる
- 04活性酸素によって新たな細胞損傷が増える
- 05老化細胞が蓄積する
- 06SASPによる慢性炎症が続く
- 07周囲の細胞と除去機能へ影響が広がる
- 08さらに老化細胞が増えやすい環境になる
Frequently
Asked Questions.
よくある質問
ターンオーバーが遅れると、老化細胞が増えるのですか?
ターンオーバーの遅延によって古い細胞が長く残りやすくなることは、老化細胞が蓄積しやすい環境の一因と考えられます。ただし、老化細胞の蓄積には複数の仕組みが関わります。
JAG1とは何ですか?
細胞同士の情報伝達に関わるタンパク質です。本記事では、古い細胞へ交代のタイミングを伝え、ターンオーバーへ関わる合図として解説しています。
17型コラーゲンは、肌のハリを支えるコラーゲンですか?
真皮のハリや弾力を支える一般的なコラーゲンとは役割が異なります。17型コラーゲンは表皮幹細胞と基底膜をつなぐ接着タンパク質で、細胞競合にも関わります。
活性酸素はすべて悪いものですか?
活性酸素は免疫や情報伝達などに必要な役割も担います。問題となるのは、必要以上に増えて酸化ストレスが生じる場合です。
化粧品で老化細胞やJAG1、17型コラーゲンへ直接作用できますか?
化粧品によって体内の老化細胞を除去したり、生体機能を治療したりできるとはいえません。研究情報は肌の仕組みを理解するためのものであり、化粧品そのものの効果と区別する必要があります。
Daily Habits
for Healthy Skin.
老化細胞が蓄積しにくい肌環境を保つために。
次章では、紫外線対策、活性酸素対策、適度な運動という3つの視点から、今日から実践できる生活習慣とスキンケアを解説します。
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