Skin Science Journal 01
Dry
Skin.
保湿しているのに乾燥するのはなぜ?
乾燥肌の本当の原因を知る
「しっかり保湿しているのに、時間が経つと肌がつっぱる」。その背景には、水分不足だけでは説明できない、肌本来の「うるおいを守る仕組み」が関係しています。

News Topics
この記事で分かること
肌のうるおいを守る3つの仕組みと、天然保湿因子(NMF)が作られる流れ、NMFが作られにくくなるまでの仕組みを解説します。
Why Does
Skin Dry?
乾燥は、水分不足だけではありません。
「朝はしっかりスキンケアをしたのに、夕方になると肌がつっぱる」「高保湿の化粧水やクリームを使っているのに、乾燥が気になる」。このような悩みを抱えている方は少なくありません。
乾燥肌は、単純に水分が不足している状態ではなく、肌が水分を抱え込み、逃がさない仕組みそのものが乱れている状態です。
その背景には、バリア機能の低下、天然保湿因子(NMF)の減少、炎症、紫外線によるダメージなどが複雑に関わっています。
大切なのは「水分を与えること」だけでなく、肌が自らうるおいを保つ仕組みを理解することです。
01
Three Moisture Systems
肌は3つの仕組みでうるおいを守っている
健康な肌がうるおいを保てるのは、皮脂膜・細胞間脂質・天然保湿因子(NMF)の3つがバランスよく働いているからです。

01
SEBUM FILM
皮脂膜
肌表面を覆う「ラップ」
皮脂と汗が混ざってできる薄い膜で、肌表面から水分が逃げるのを防ぎます。加齢、洗いすぎ、紫外線、季節の変化などで皮脂量が減ると、乾燥を感じやすくなります。
02
INTERCELLULAR LIPIDS
細胞間脂質
角質細胞をつなぐ「セメント」
角質細胞の隙間を埋める脂質で、代表的な成分がセラミドです。規則正しいラメラ構造をつくり、水分を保ちながら外部刺激から肌を守ります。
03
NMF
天然保湿因子
角質細胞の中にある「スポンジ」
角質細胞の中で水分を抱え込み、うるおいを保ちます。NMFが不足すると、スキンケアで水分を補っても十分に抱え込みにくくなります。
Healthy vs. Dry
うるおいを守る仕組みが乱れると、角質層に隙間が生まれる
健康な角質層では、角質細胞が整い、その隙間を細胞間脂質が満たしています。
一方、乾燥した角質層では構造が乱れ、水分が蒸発しやすく、外部刺激も受けやすい状態になります。

02
Natural Moisturizing Factor
天然保湿因子(NMF)とは?
NMFは「Natural Moisturizing Factor」の略で、日本語では天然保湿因子と呼ばれます。「天然」という名前ですが、植物由来成分ではなく、私たちの肌が自ら作り出している保湿成分です。
NMFは一つの成分ではなく、複数の水溶性成分が集まってできています。これらが角質細胞内で水分を引き寄せ、保持することで、肌のうるおいを支えています。
POINT
NMFは角質細胞の中で働くため、量が減ると角質層の水分保持力も低下しやすくなります。
- 01アミノ酸類
角質層の水分保持に関わる主要成分 - 02PCA
水分を引き寄せ、抱え込む成分 - 03乳酸
角質層の保湿環境を支える成分 - 04尿素
水分保持に関わる成分 - 05クエン酸塩など
NMFを構成する水溶性成分

From
Filaggrin.
NMFはフィラグリンから作られる
NMFは最初から肌に存在するわけではありません。もともとは、フィラグリンというタンパク質から作られます。
フィラグリンは、角質細胞の中にあるケラチン線維を束ね、細胞を丈夫にまとめる「骨組み」のような存在です。角質細胞が成熟する過程で酵素によって段階的に分解され、その一部がアミノ酸やPCAなどへ変化し、NMFになります。
03
Key Enzymes
NMFづくりを支えるCaspase-14とBH
CASPASE-14
Caspase-14(カスパーゼ14)
Caspase-14は、フィラグリンの分解からNMFの産生につながる過程に関わる酵素です。
イメージとしては、フィラグリンを細かく分解し、次の工程へ渡す「最初の加工担当」です。
BLEOMYCIN HYDROLASE
BH(ブレオマイシン水解酵素)
BHは、Caspase-14によって分解されたものを、さらに細かく分解する酵素です。
大きな材料を、NMFの構成成分へつながる大きさまで切り分ける「仕上げの加工担当」のように働きます。
Natural Moisturizing Factor
図解②:NMFが作られる仕組み
フィラグリンは、まずCaspase-14によって分解され、その後BH(ブレオマイシン水解酵素)によってさらに細かく分解されます。こうした段階的な分解を経て、天然保湿因子(NMF)が作られます。
フィラグリン
角質細胞内にある、NMFのもとになるタンパク質
Caspase-14が分解
フィラグリンを分解し、次の工程へ進める
BHがさらに分解
分解されたものを、さらに細かく分解する
天然保湿因子(NMF)
アミノ酸やPCAなどの水溶性成分が作られる
角質細胞が水分を保持
NMFが角質細胞内で水分を抱え込み、うるおいを支える
フィラグリンをCaspase-14が分解し、続いてBHがさらに細かく分解することでNMFが作られ、角質細胞が水分を保持しやすくなります。
NEXT / DRY SKIN JOURNAL 02
炎症でNMFが減ると、肌はどうなる?
PCAとウロカニン酸の役割、未熟な角質層、セラミドとの関係から、乾燥スパイラルが進む仕組みを見ていきます。
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